2007年12月01日

【完結】石田彰「立原道造を詠む」

つまり石田さんはとても難しい事をしていたのだ。
そう・・詩の解釈を自分なりにしていながら あえて
それを表現として外に出さないようにしていたのである。

つまり、詩の解釈をするという事は、その事情や事象を
理解し、心に思い浮かべてしまうという事。
そうなると・・役者さんは、本来演じるのが商売であるから
自然と声に感情が宿ってしまうのだ。

それを、石田さんは あえて殺したのだ。
そして「朗読」に徹しようとしていたのだ。

「詩の解釈」そして「朗読」の本当の意味を最も理解
していたのは、プロデューサーの私でもディレクターの
Iちゃんでも無く・・実は彼本人だった・・。

立原道造記念館の担当の方が言ってくださった言葉が
一瞬にして蘇る・・・・。

この詩は読む人が自由に解釈してください。
字も自由に思った通りに発音して頂いて構いません。
そういうものですから・・そこには制約も何もありません。

その本当の意味に最初に気付いたのが石田さんだった。

石田さんの「演」が少しでも入ってしまえば、せっかくの
素晴らしい詩の解釈が、石田さん流の解釈として聴く人に
押し付けてしまう事になってしまう。

勿論、それを喜ぶ人も居ようが・・彼はそれを良しとせず
「詩をそのままの状態で開放すべく」読んだのである。

あれだけ時間をかけて念入りに解釈したのに・・・
ああ・・あんなに苦労して・・・・・・しかし・・・
その上で彼は自らの努力を全て無に戻したのである。

だったら、果たしてそれだけの手間暇をかけて
「ああでも無い。」「こうでも無い。」と時間を
たっぷりかけて検討する必要があったのであろうか・・
そう考える人も居るかも知れない。

しかし、自分なりの詩の解釈をした上で、それをあえて
外に出さない事の重要性を彼は誰よりも理解していた。
努力の時間をあえて無にする事の意味を理解していた。

人によっては、今回の朗読をただ淡々と読んでるだけ
そう聴く人も居るかもしれない・・しかしその危険性を
冒してまで、彼は「立原道造」という詩人を立ててくれた。

やはり今回、石田彰という人にお願いしたのは
・・・・・・本当に 正解 だったと思う。
今でも、その事を想うと・・ちょっと泣けてくる・・・。

その後、彼は本番中、自分の朗読に何度も何度も
何度もリテークを出し続けた・・・。

その度に、むしろこちら側が「今ので大丈夫ですから」
といった按配で進み・・・(まるで逆の風景である)
結局、最初予定していた所要時間は最終的に
3倍の長きに渡ったのである・・・・・。

こちらが、「もう今ので本当に大丈夫ですから。」
そう言わない事にはけして次に進もうとしない・・・。
石田さんの執念というか・・・一生懸命さ・・真摯な姿・・。

私は、これまで、之ほど、真摯に本番に挑んでくれた
役者さんを未だ一度も見た事が無い・・・。
posted by アニアン at 14:13| Comment(9) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
詳細なレポート、ありがとうございました。感動しました。
もっともっと語りたいはずなのに、言葉がみつからない。やはり、「感動した」としか・・。
石田さんのファンでいて良かった。石田彰という声優を知っている自分は、幸せだと感じます。好きになって良かった。
久し振りに感動の涙を流しました。作品、楽しみに待っています・・・
Posted by 一ファン at 2007年12月04日 19:50
石田さんはプロ中のプロだなぁと、今回あらためて思いました。
予約したCDが届くのが楽しみでなりません。
石田さんが、石田さんの作り上げた作品が大好きです!!
Posted by たちばな葵 at 2007年12月04日 20:14
本当に詳しく製作日記を公開していただき、著者様である村上氏には感謝の念が尽きません。
この記事を読み、今ほど、自分が石田さんのファンであることを誇らしく、そしてまた嬉しく感じたことはありません。
石田さん『入魂』の朗読CD。大切に大切に、手元に届くまで待ち続けたいと思います。
Posted by 通りすがりファン at 2007年12月04日 20:55
初めまして、書き込み失礼します。

普段は音楽を聴きながらネットをしているのですが
5回にわたる、この『石田彰「立原道造を詠む」』は
停止ボタンを押し無音にして、何度も何度も真剣に読んでいました。
この舞台裏を知らなければ、石田彰さんのファンである人間でも
「つまらない」といった感想になっていたのかも知れません。
ですが、こうして作り上げられたものだと教えて頂いた事で
今回の朗読CDを聴いた時に受ける印象というのは随分と変わるでしょうし
自分の手元にある、たくさんの石田さんの出演作に対しての思い入れも
今まで以上に深いものとなりました。

【完結】を読んで、目頭が熱くなってきました。

プロデューサーの村上様、本当にありがとうございました。
Posted by Caglla at 2007年12月05日 00:05
何度目かの投稿ですが、失礼します。
石田さんの声を聴くとき、いつも情感のこもった演技や
声そのものが織りなす人物像に魅了されます。
今回の朗読作品では、その築き上げたものをあえて
排除されているのですね…。
こちらの日記がなぜ発表されるに至ったか…文章のなかに
胸がつまる箇所が何度かあり、間を置きながら、繰り返し読ませて頂きました。
そして来年、作品にはじめて接するとき、
真摯な気持ちで流れる声に目を閉じ「詩」そのもの世界に
ゆっくりと浸ってみようと思います。
このような感動的なお話を聞かせてくださりありがとうございました。
重ねて感謝いたします。
Posted by tayan at 2007年12月05日 01:42
とても素晴らしいこのような製作サイドの内側を覗かせていただきありがとうございます。
改めて石田彰という人間が大好きになりました。
時間をかけて詩の解釈をし、その上で朗読に徹する石田彰さん。何度も自らリテイクを出されて、やはり納得のいくお仕事をするというプロ意識、とても感動いたしました。
石田彰さんの朗読を耳にして、聴く私達が色々と解釈していく。答えを求めるのではなく、そこから広げていく素晴らしさ。とても楽しみです。
石田彰さんを好きになった私の目もたしかだったのですね。(笑)
Posted by eruta at 2007年12月06日 19:20
皆様、コメントをありがとうございます。

それから完結させるまでに時間がかかり
しびれを切らせてしまった事でしょう。
ごめんなさい。

それにしても・・・・
皆様からの素晴らしいコメントを頂いた
おかげ様で今回のことは、やはり書いて
良かったなぁと今ホッしています。

心温まるコメントは本当に嬉しいです。

これからますます活躍される石田彰さん
の事、ぜひ一緒に応援して参りましょう。
Posted by 村上恒一 at 2007年12月08日 08:22
石田さんは本当にプロ意識のお強い方です。声優界でも今はルックスというものが重視されているため、中身が伴わない方が大変増えていますが、この方はプロという意識をきちんとお持ちです。わたくしも敬意をもって、店頭まで足を運びたいと思います。
Posted by ノーネーム at 2008年01月20日 07:23
朗読CDをお聞きしてとても感動した者です。本当に素晴らしい作品だと思っていたところ、こんなに素敵な舞台裏があると知ってすごくうれしくなりました。私は石田さんファンですが、立原道造ではないですけれども詩が好きです。石田さんの朗読は詩の朗読として理想的だったと感じました。本当に感動しました。レポートありがとうございます。
Posted by ファン at 2008年07月17日 18:12
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